謎めいた魅惑的な鹿児島市は、九州の南西端にあります。鹿児島県の県庁所在地であり、「東洋のナポリ」と称されるこの美しい都市には、沢山の発見があります。今回は、鹿児島でぜひ体験してもらいたいお勧め5つを紹介します。
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日本の鉄道は世界的に有名なので、乗るためだけに日本に来るのも十分価値があります。世界最速の新幹線であれ、超正確に時刻表通りに走る通勤列車(本当に、電車の中で時計の時刻を合わせることができるほどです)であれ、日本の鉄道が有名なのには理由があります。特急「はやとの風」も決して例外ではありません。
吉松・鹿児島中央駅間で運行される、この漆黒の列車は、昔の鉄道のクラシカルなデザインのノスタルジックな雰囲気ですが、客室は快適で展望ラウンジまで備えられています。車窓からの景色は圧巻で、沿線の停車駅もそれぞれが魅力的なんです。歴史通なら、1903年に開業した嘉例川駅や、太平洋戦争の戦火をくぐり抜け、ホームの柱に機銃掃射の弾の貫通跡が今も残る大隅横川駅を是非とも訪れたいと思うでしょう。錦江湾の水際では、雄大な桜島の息をのむような絶景を楽しむことができます。また「はやとの風」の車内では、駅弁や地元特産の酒類やビール、おつまみの販売もあります。
鹿児島の料理は、鹿児島の古い呼び名である薩摩にちなんで、薩摩料理としばしば呼ばれます。鹿児島市は、九州の最南端に位置しているため、日本の他の地域とは少々隔絶しています。おかげで、日本の中でも、一風変わった独自の美食スタイルが生まれました。鹿児島名物の中で、特に有名なのが、薩摩揚げと薩摩焼酎のふたつです。
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薩摩揚げは、魚肉団子を揚げたもので、鹿児島で最も有名な料理の1つです。魚のすり身に小麦粉や様々な香辛料を加え、その生地を揚げて作ります。鹿児島の多くの飲食店で、串に刺した薩摩揚げが食べれますが、目の前で自分で焼けるんです。薩摩揚げは、日本のどこでも、そのままのプレーンか、醤油をつけて、あるいはうどんやラーメンに入れて食べられています。
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日本を代表するお酒は、日本酒と焼酎の2つです。日本酒の原料は米ですが、焼酎の原料は、小麦や黒砂糖、栗、そして鹿児島名物のサツマイモなど、様々なものがあります。
鹿児島の土地の多くは火山灰からなるため、稲作にはあまり適していません。しかし、サツマイモの栽培には最適な環境だったため、昔の鹿児島の人々は、サツマイモを原料に独特の芋焼酎を作り出したのです。参考までに鹿児島県は、日本の中で焼酎の年間消費量が最も多い県です。焼酎は、ストレートで、ロックで、また、お湯割りで楽しめます。
仙巌園は、非常に有名で美しい日本式庭園で、鹿児島湾を望む海岸沿いにあります。多くの人が絶賛するように、仙巌園の最大の特徴は、目の前に浮かぶ壮大な桜島です。
1658年に造られた仙巌園は、かつて巨万の富と権力を誇った島津一族の住居でした。島津家は、日本の封建時代を通して薩摩(現在の鹿児島)一帯を統治しました。1800年代初めには、集成館と呼ばれる工場群をこの地に建設、明治時代の日本の産業革命の先駆けとなりました。
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2015年、旧集成館は、日本全国に点在する資産群を構成するひとつとして、UNESCOの世界遺産に登録されています。
構成資産の多くは、鹿児島に所在しています。下記に挙げていきます。
1867年に建てられたこの建物には、輸入技術の指導のために招聘されたイギリス人技師が滞在していました。また、建物の地下からは、蒸気機関を動力とする日本初の紡績工場の遺構が見つかっています。この建物は、世界遺産ビジターセンターの役割もしているので、一層実りある旅にするため、是非ともこちらを訪れてみて下さい。
集成館事業(鹿児島における近代化事業)への給水を制御したスルース・ゲート(疎水の取水口)の跡です。スルース(sluice;オランダ語の「sluis」に由来)とは、水路を意味する言葉で、最上流部にあるゲートで給水を制御しました。1852年に建設された関吉の疎水溝は、水車を動かすために利用されました。現在も、潅漑用水路として利用されています。
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日本は1850年代、オランダ語の技術書を参考に、試行錯誤を繰り返しながら、全国11基の反射炉の建設・運用に成功しました。旧集成館反射炉跡は、現存する3基の反射炉跡の1つです。
現存する日本最初期の洋式工場の建物で、1865年に完成しました。オランダから輸入した機械を使用して、ここで金属加工や蒸気機関の修理を行いました。
堅牢な伝統的石積み工法によって1858年に作られた寺山炭窯跡は、驚くべきことに、往時の姿をそのまま残しています。寺山炭窯は、集成館事業において木炭が不足していたことから、発熱量が高い白炭を生産するために建設されました。
*関吉の疎水溝や寺山炭窯跡は、仙巌園から数キロメートル離れた近隣の丘の上、公共交通でのアクセスが難しい場所にあります。訪れるならレンタカーの利用をお勧めします。
温泉と同様、砂風呂に入ると、心身のこわばりが和らぎ、気分が穏やかになるため、自分への休日のご褒美に最適です。とはいえ、温泉とは違って、少し奇妙で風変わりな体験なので、全く新しい冒険でもあります。
鹿児島湾沿いには、砂風呂がある施設が沢山あります。料金は850円ほどです。料金には、浴衣のレンタル利用料とペットボトルのお水1本、お土産に持ち帰ることができる温泉用の小さなタオルの料金も含まれています。砂風呂は、文字通り砂の風呂です。利用者は、暖かい砂に首まで埋まり、万全の効果が得られるまで、約10~20分過ごします。
その熱がどこから来るのか不思議ですね。海岸線に沿って存在する周辺の火山のおかげで、砂浜の地下の水は非常に暖かく、ミネラルを豊富に含んでいます。また、地下から上ってくる蒸気によって、砂が自然と温められるのです。砂風呂は、筋肉を和らげたり、体内から毒素を排出したりする作用が、通常の温泉の3~4倍あると言われています。このユニークで素晴らしい体験について、詳しくは、こちらの「砂風呂初体験ハウツーガイド」をご覧ください。
桜島は、鹿児島の沖にある活火山です。大隅半島と現在は陸続きですが、1914年の大噴火によって地形が変わるまで、長らく、島であったことが、桜島という名前の由来です。桜島は、厳密に言えば、もはや「島」ではありませんが、現在も、船によるアクセスが最も簡単で、鹿児島港と桜島港フェリーターミナルとの間の3.5 kmがフェリーで結ばれています。
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火山の頂上は、北岳、中岳、南岳と呼ばれる3つの山頂で構成されています。南岳は現在も火山活動が活発で、毎日、多くの小噴火が起きていることが知られています。桜島の最高峰の北岳は、海抜が1,117 m(3,665フィート)あります。
桜島では、温泉や足湯、短時間のハイキングコースなど、見たり、体験したりすることが沢山あります。かつて島だったこの場所を探検し、火山をより間近に眺めたい方は、バスやレンタサイクルで展望スポットに行くことができます。
湯之平展望所は、フェリーターミナル、桜島の火口(わずか2.5 km先!)の両方から最も近く、海抜350メートルと最も高いところにあります。展望所へと続く曲がりくねった道を前に、おじけづくかもしれませんが、途中の美しい眺めを楽しみながら登っていけば、展望所からは、火山と鹿児島湾と大正溶岩原が一望でき、絶景に疲れも吹き飛ぶでしょう。
鹿児島へ行ったことはありますか?もしくは日本の他の地域へ行ったことはありますか?このリストに付け加えたいと思う場所はありますか?日本を旅行してみて、一番気に入ったのはどこですか?ご意見をお寄せください
ここで取り上げたUNESCOの世界遺産について、詳しくは、こちらをご覧ください。