令和3年度「明治日本の産業革命遺産世界遺産ルート推進協議会」総会報告
2021年10月21日(木) ホテルグランドアーク半蔵門(東京都千代田区)にて「令和3年度明治日本の産業革命遺産世界遺産ルート推進協議会総会」が開催されました。「世界遺産ルート」とは、世界遺産価値について楽しく学びながら周遊できるよう、各構成資産をつなぐルートを設定したものです。総会では、来賓ら4名の挨拶と、3つの活動の報告がなされました。
発起人の石原進理事(九州旅客鉄道(株)特別顧問およびルート推進協議会会長)をはじめ、弊財団より保田博代表理事、加藤康子専務理事、安富正文理事、島津公保理事らが出席しました。来賓として、今井敬日本経済団体連合会名誉会長、藤田耕三(株)損害保険ジャパン顧問、田端浩(株)三井住友銀行顧問、青木由行内閣官房産業遺産の世界遺産登録推進室長が出席されました。
開会にあたり、保田代表理事は、総会出席への御礼と構成資産への訪問を推奨し、また会員からの更なる指導を要請しました。
来賓代表として、内閣官房・青木室長が挨拶されました。マップに搭載されているAR(拡張現実)機能やスマートフォンアプリに触れて、「コロナという厳しい環境下でも様々な施策を積極的に進めて頂き、今後の周遊促進や理解促進の起爆剤になると期待します」と、高く評価されました。また、石原会長は挨拶の中で、協議会が早い段階からアフターコロナ、ウィズコロナを展望し活動に取り組んできたことを語った上で、「協議会が会員各位の情報共有と連携の場になって欲しい」と、強調しました。
最初に、「明治日本の産業革命遺産」世界遺産協議会の金子昭広事務局長(鹿児島県)が報告しました。ビジターセンターや構成資産の整備状況をはじめ、インタープリテーションの取組みなど各項目について豊富な写真資料と共に報告しました。新型ウイルスの感染拡大は各地の施設運営等に厳しい状況をもたらしてはいるが、施設リニューアルや保全整備を進め、国内外からの来場者を迎える準備を滞りなく粛々と進めているという説明もありました。
続いてアクセスガイドマップ制作チームの矢部泰政さんが、情報ネットワーク「lin-KK-age」(リンケージ)について説明しました。リンケージは、4つの媒体(アクセスガイドマップ、ガイドアプリパスポート、LINE、デジタルサイネージ)が相互に補完し合うシステムです。特にLINEアプリと連携したことで、「我々10代、20代への普及が可能になっている」と、強調しました。さらに「リンケージが日本らしい先進的な取組みであるとともに、特に広域な構成資産を持つ地域での有用性が高いとし、ユネスコからも高い評価を頂いた」と、報告しました。
九州・山口エリアでマップ配布や広報・営業を担う古関孝子さんは、来年度へ向けた新しい試みである「ガイドモニター・ツアープロジェクト2022」について説明しました。これは、スマホ用ガイドアプリとLINEを活用した全8エリア周遊モニターツアープロジェクトです。「新しいファンも増やしながら、産業遺産のルート推進に務めて参りたい」と、企画実行への意欲を示しました。マップは、10月現在で全国1440カ所、42万6000部が配置されている、とのことでした。
最後に加藤専務理事が登壇し、常に自然災害にさらされる構成資産の保全とインタープリテーション戦略に基づく活動について総括しました。特にこの2年間については、コロナ禍で観光業は大変厳しかったものの「我々は活動の手を休めることなく粛々と準備を進めて参りました」と、述べました。2015年に始まった「世界遺産ルート」の構築についても、アクセスガイドマップの拡充、マップやアプリの多言語化、構成資産へのアクセスに不可欠な道路標識の設置など様々な取り組みがなされ、「当初の目標をさらに進化させている」と、力強く語りました。そして、「lin-kk-age」を使いこなしていくことで、「世界のモデルケースとなる良いものにしていきたい」と、展望を述べました。
昨年開館した産業遺産情報センターについては、「23の構成資産のハブになる」とし「世界に誇る素晴らしい展示をしておりますので、一度足をお運び頂きたいと思っております。皆さんの御助言を頂きながら良いものにしていきたいと思いますので、お力添えのほどよろしくお願いいたします」と、締めくくり、令和3年度の総会は盛況のうちに閉会となりました。
今回は感染症対策のため規模を縮小しての開催となりましたが、中央省庁、地方自治体や関連省庁、観光・交通関連企業等56の団体から約90名に御参加頂きました。